その前に、今、話題となっている、中田浩二のマルセイユ移籍志願に
端を発した国際間移籍の問題について考えてみたいと思います。
まず、予習として、以下をチェック。
○KET SEE BLOGさん(中田問題のわかりやすい解説)
○蹴球歳時記さん(ボスマン判決をまとめている)
○morningbell Blogさん(中田問題に対し、シンプルな結論)
○中田の代理人である田邊氏のブログ
基本事項をおさえておくと、
1.日本では、選手の契約や登録、移籍について、日本サッカー協会の規定で細かく定めている。
2.細かいルールに従う必要があるが、日本では選手は基本的に自由に移籍できる。
3.ただし、クラブ側は選手を移籍させるにあたり、移籍金を相手クラブに請求できる。
4.移籍金の算出基準も定められている。
5.移籍金は選手との契約期間終了後30ヶ月間以内の移籍に対して請求できる。
6.欧州では、契約終了後の選手に移籍金は発生しない
7.契約期間中の移籍に対しては、契約を解除する対価として「違約金」が支払われる。
これを今回の件にあてはめてみると、
鹿島側の主張
・中田の適正な移籍金は3億から4億である。数千万円では低すぎる。
・今後30ヶ月は鹿島に保有権があり、満足できる移籍金の提示がない限り、移籍は認めない。
マルセイユ側の主張
・1月末で中田と鹿島の契約は終わるため、それ以降は移籍金は発生しない。
・残り数週間の契約を解除する「違約金」としては数千万が妥当な金額である。
ということになりますでしょうか。
マルセイユは日本をなめているのか! いや、鹿島のほうが無謀なことを言っている。
いろいろな意見がありますが、双方とも、自分が属している社会のルールに則った、
まっとうな主張をしていると言っていいでしょう。
主張が間違っているのではなく、
それに先立つルールが異なることに紛争の原因があるわけです。
そこで、日本のルールと欧州のルール、どっちが優先されるの?
という大問題が発生します。
これって難しい問題ですよね。
国際法をよくご存じのかたにお聞きしたいぐらいです。
しかし、実はこれ、素人でもわかる大きな落とし穴があります。
日本のルールと欧州ルールが異なる、とさっき書いたのですが、これって
ある意味正しく、ある意味正しくないんですよね。
というのは、
双方の「ルール」は、実は、次元が違う「ルール」なんです。
欧州のルールは、EUの裁判所で裁定されたものであり、EU各国を法的に拘束する力を持ちます。
一方で日本のルールは日本サッカー協会の内部規定にすぎないのです。
日本サッカー協会の規定が正当な法的拘束力を伴うかどうかは、裁判をしてみないとわかりません。
もし、実際に裁判で争われたとしたら、「契約期間満了後も移籍金を請求できる」
なんてことは認められない可能性が大だと思います。
そもそも、人を金で売る移籍金制度そのものが認められない可能性すらあるでしょう。
いずれにせよ、欧州のルールが、各国サッカー協会、
あるいはUEFAで定められた内部ルールなら、
FIFAに裁定を求めるなんてこともあるかもしれませんが、
一方が判例であり、他方が内部規定にすぎない場合、
正面から対抗するのは難しい、と考えるのが妥当な判断でしょう。
ですから、鹿島というか日本側の
「移籍金が低すぎる。移籍証明書はださん。」
という言い分はちょっとつらいですね・・・
そのあたり、鹿島側もあきらめたのか、
1.鹿島と新たに契約するか
2.2月1日以降に移籍金ゼロで移籍するか
の二者択一を中田側に迫ったようですね。
まあ、しょうがないでしょう。若干、恫喝っぽいともとれますが・・・
(余談ですが、移籍証明書をださない、という発言にも事実誤認があったと思われます。
移籍証明書をだす最終権限はサッカー協会にあり、移籍が法的に問題がないかぎり、
サッカー協会は鹿島側が承諾しなくても移籍証明書を発行する責務があるはずです。)
ということで、日本も選手の契約、移籍に関する考え方を改めていく必要があります。
「契約期間満了後も移籍金を請求できる」なんてことはやめにすべきです。
契約でしか選手を拘束できないと考えるのが妥当でしょう。
当然、拘束しようとすれば複数年契約になります。
そもそも、単年度契約で選手を拘束しようとするのが甘い考えだと思います。
単年度契約でクラブ側はいつでも選手を解雇できるのに、
選手がでていこうとするときは、金を用意するか、30ヶ月浪人しないといけない、
なんてのはあまりにも非合理的です。
ただでさえクラブの立場は選手より圧倒的に強いのに、
サッカー協会がそれにお墨付きを与えてしまっているのはナンセンスです。
ただ、移籍金算出方法については、日本独自のこの規定でいいと思います。
妥当な金額のお金を用意できれば自由に移籍ができるという、
移籍の活性化につながる現行規定は歓迎すべきものです。
選手を拘束するのは契約による。
契約期間中の移籍については、現行の移籍金算出基準による。
でいいかなと。
ちなみに、将来的に、
日本選手の評価が高騰したり、円の価値が下がったりして、移籍金算出基準では
欧州のクラブの財政力に対抗できない、という状況が生まれたときは
契約の中で移籍金(違約金)を各自設定する欧州式の方法もありかなとは思います。
【Jリーグに思うことの最新記事】


契約期間中の移籍は欧州と同じように金額を各自のクラブで決めています。
おっしゃっているのは、ここの部分ですね。
プロサッカー選手に関する契約・登録・移籍について
3−2 移籍金
2.移籍金の上限
(1) プロA選手
イ.契約期間中に移籍する場合 : クラブ間の合意による
ロ. 契約更新時にクラブがプロA契約を提示した場合 : [移籍金算出基準]による
なるほどなるほど。
現行規定が、契約期間中の移籍と契約更新時の移籍に差をもうけていたことは知らなかったです。
またひとつ勉強になりました。
どうもご指摘ありがとうございました。